2015年度 ポンチョ ノンステップロング

ポンチョ ノンステップロング
2015年度導入車


 主要諸元 
メーカー:日野自動車
型式:SDG-HX9JLBE
車体架装:ジェイ・バス(小松事業所)
車種名:ポンチョ(2代目)
車体:ノンステップ ロング2ドア
全長:6990mm
全幅:2080mm
全高:3120mm
エンジン型式:J05E<J5-V>型 水冷4サイクル
            (インタークーラー付)
シリンダー配列:直列4気筒
動弁機構:SOHC 4バルブ
ボア×ストローク112mm×130mm
総排気量: 5123cc
圧縮比:17.0
最高出力:132kW(180ps)/2500rpm
最大トルク:530N・m(54kg・m)/1500rpm
搭載方法:横置き直立
変速機:トルクコンバータ式電子制御5速AT
            (レバー式セレクタ)
乗車定員:36名
備考:国土交通省認定標準仕様ノンステップバス
         平成22年(ポスト新長期)排出ガス規制適合車
         新ワンマンバス構造要件適合
         アイドリングスタート&ストップ
         ABS装備
         給油口右側
         燃料タンク右側後部

 車両リスト 

 2015年9月登録 

 解 説 
2015年度は久しぶりに年度途中での新車導入があった。これは2015年9月から新たに京都岡崎ループ(循環2号系統)が運行を開始するため。この系統の経路途中には狭隘区間があることや、需要の見込みから小型バスが必要となり、日野ポンチョが2007年度以来久しぶりの導入となった。ただし2006年度と2007年度のポンチョはリースだが、今年度は購入している。
ポンチョを名乗るのは2代目で、初代は欧州製の小型バスに対抗してつくった半日本製のバスです。シャーシ・エンジンはフランスのPSA・プジョーシトロエン製で、商用車ベースの横置きエンジン前輪駆動となっており、これに日野グループ製のボディーを架装していた。2002年~2005年の3年間で50台限定で生産され、各地のコミュニティバス等で導入されている。
2代目ポンチョは初代とは全く関連が無く、従来からある小型バスのリエッセをベースとして開発された、純日本製の小型ノンステップバスとなる。まず2004年の第38回東京モーターショーにコンセプトカー「ポンチョL」として参考出品され、これを量産化向けに仕様変更したもの。
リエッセをベースにそのままノンステップ化しただけでは、低床部がホイールベース間だけとなり、同クラスで先行していた三菱ふそうエアロミディMEに対する優位性が無い。そこで前輪を出来るだけ前に出し、フロントオーバーハングを短くして、ホイールベースを長くとり、デッドスペースになる前輪タイヤハウス上を運転席とすることで、低床部を極力広くしている。タイヤハウス上の運転席だが、小型バスなのでタイヤ径が小さく、高さが極端に高くなることもない。極力室内を広くするため、乗降扉にはプラグドアを採用している。
エンジンは、排気量4728ccの直列4気筒ターボ付きJ05D<J5-IIF>型エンジンを採用。これもリエッセと基本的に同一のもの。これをリアに搭載して後輪を駆動する。2006年3月22日に発売開始された当初は、5速MTしか設定が無かったが、12月20日に電子制御式5速ATが追加された。そして2007年7月18日の一部改良でNOx・PMをともに10%低減したため、型式がADG-からBDG-に変わっている。ただし発売開始から1年半ほどしか経過していないため、それ以外の違いは無かった。
2011年8月9日にマイナーチェンジが行われ、エンジンを従来の4748cc J05D(J5-IIF)型から、5123cc J05E(J5-V)に変更した。このエンジンはブルーリボンシティハイブリッドのJ08E-1M(J8-IX)型6気筒エンジンを4気筒としたようなもので、ボア×ストロークも同じ。エンジンの改良は平成22年排出ガス規制に対応するためで、DPRの改良や日野のクリーンディーゼルシステムであるAIR LOOPを採用している。排気量が小さく負荷も少ないので、尿素SCRシステムを採用する事なく、排出ガス規制に適合させている。MT車平成27年度燃費基準を達成しており、形式もMT車はSKG-HX9J系、AT 車はSDG-HX9J系にそれぞれ変更された。ポンチョのベースとなったリエッセは、平成22年排出ガス規制には適合させず生産中止となるため、1ドアのシートレイアウトに郊外型を追加して代替とした。
2012年5月10日には、2012年7月から適用されるシートおよびシートベルトに関する保安基準並びに新ワンマンバス構造要件に適合したマイナーチェンジを実施した。このマイナーチェンジでは型式記号は変更がない。
車体はリエッセをベースとしており、前後のガラスも同じものを使用している。フロントはトヨタグループのダイハツ・ムーヴ用丸型ヘッドライトを流用、リアのランプ類はセレガ/ガーラと共通の丸型とするなど、トヨタグループを含めた既存車種の部品を使用して、コストを抑制しつつリエッセとイメージを変えることに成功している。
京都市バスで導入されたのは、前回に引き続きロング2ドア仕様。コスト削減を兼ねて前後共に同じ扉部品を採用しているので、開口部はどちらも810mmが確保されており、車いすの乗降はどちらでも可能となっている。車内の座席は全て前向きで、低床部左側(公式側)には1人用が2脚、右側(非公式側)には1人用が5脚あり、そのうちの前寄り2脚は折りたたみ式で、車いす搭載時のスペースとなる。後部は2段上の4人掛けとなっており、座席定員は合計11名。立席定員が24名+運転席1名で、合計定員は36名となる。左側の座席を横向きで選択すると座席定員は増えるが、その分通路が狭くなるため立席定員が減ることや、乗客の移動がしにくくなるためか、こちらは選択しなかった。
運行に必要なのは3台で1台を予備車とするため、合計4台が導入され、錦林出張所に配置された。手狭な錦林出張所は余裕が無いため、一部の車両を転出し、設備のレイアウトを変更するなどして、ポンチョ4台分の場所を確保している。
今回導入の4台は京都市電にちなんだラッピングが施されており、3124・3129号車が京都市電末期のワンマン塗装をベースとしたアイボリーとグリーンで、境界部分にオレンジのラインが入る。京都市交通局のサイトには2000形がモチーフとされているようだが、形式を問わずすべてのワンマン車両に施されていた塗装なので、2000形のオリジナル塗装というわけではない。3128・3130はアイボリーとワインレッドで、北野線等のN電がモチーフとなっている。どの車両も一旦グリーン濃淡の一般塗装が施されたあとでラッピングされている。これは京都岡崎ループ号系統が失敗に終わった場合、即他の系統に転用できるようにしてあるのだろうか。
車内のレイアウトは前回までの導入車と変わらず、低床部はすべて前向き1人掛けで、右側に5人分、左側の扉間に2人分となる。右側前部2人分が折り畳み式で、車いすを1台搭載可能。前述したように扉は前後同サイズで開口幅が810mmあり、どちらからも車いすの乗降が可能になっている。

イメージ 1
車内の運転席背後には、観光案内を表示するモニターが設置された。路線の性格上、従来の停留所案内だけでは情報量が不足することを考慮したのだろう。

イメージ 2
3124号車の運転席
※上記2点の写真は、京都岡崎ハレ舞台での展示車両で撮影したものであり、営業運行ではない。