2008年度 西工96MC L尺ワンステップ

西工96MC ワンステップ L尺
2008年度導入車


 主要諸元 
メーカー:いすゞ自動車
型式:PDG-LV234L2
車体架装:西日本車体工業
車体:西工96MC B-I ワンステップ
全長:10295mm
全幅:2490mm
全高:mm
エンジン:6H1-TCC直列6気筒 7790cc
最高出力:191kW(260ps)/2700rpm
最大トルク:745N・m(76kg・m)/1400rpm
変速機:トルクコンバータ式5速AT
(アリソン製ボタン式セレクタ)
アイドリングスタート&ストップバス
新長期規制(平成17年排出ガス規制)適合車
給油口/燃料タンク左側

 車両リスト 
1969 烏丸営業所(京都市)
1970 烏丸営業所(京都市)
1971 烏丸営業所(京都市)
1972 烏丸営業所(京都市)
1974 烏丸営業所(京都市)
1975 烏丸営業所(京都市)
1976 烏丸営業所(京都市)
1977 烏丸営業所(京都市)

 解 説 
2007年度の大型車は、メインのノンステップバス日産ディーゼルワンステップバスCNGバスがいすゞ、定期観光バスが日野となった。
烏丸営業所はツーステップバスの大きさを前提で設計された半地下構造という特殊性から、全長11mクラス(WB5.3mクラス)の車両を導入できないようなので、WB4.8mクラスながら収容力を高めるため、新車導入は2006年度以降ワンステップバスとしており、2007年度はいすゞ+西工96MCとなった。
いすゞ自動車日野自動車は、バス事業の経営統合をすすめており、路線バスはいすゞが設計・開発したエルガを、日野ではブルーリボンIIとして発売している。2004年8月からはKL-LV280系のOEM供給(エルガType-A)が開始された。
2004年12月にいすゞエルガPJ-LV系が発売され、2005年1月には日野ブルーリボンII PJ-KV系が発売された。ここからはいすゞと日野の統合車種という位置づけとなり、ラインナップも共通化されている。これによりブルーリボンシティは2005年8月をもって、ハイブリッド以外が生産中止となった。ただしエルガにはCNG車があるが、ブルーリボンIIには無い。そして2007年2月のマイナーチェンジで新長期規制(平成17年排出ガス規制)適合車となり、基準に対して、PMの10%減を達成している。ここから排出ガス規制対応の識別記号がアルファベット3文字となり、いすゞエルガがPKG-/PDG-LV234系、日野ブルーリボンIIがPKG-/PDG-KV234系となった。車両総重量14t以上のM/T車の一部は平成27年燃費基準に適合しておりPKG-となるが、それ以外はPDG-となる。京都市バスの導入車はA/TなのでPDG-となっている。
いすゞワンステップバス京都市バスとしては初めての導入となるが、車体は西工96MCだし、シャーシは前年度導入の日野PJ-KV234L1のマイナーチェンジなので、実質的な違いはあまりない。最大の変更点は非公式側(右側)側面の窓レイアウトで、運転席直後に細長い固定窓が設けられた。これは最前部の引き違い窓が、運転席と客室の仕切りよりも前にあると、乗客が開けにくくなるため、位置を後ろにずらす目的があるようだ。
車内構造はワンステップバスの標準的なもので、中扉より前部が1段目の低床部とし、後部はさらに1段上にある構造となる。駆動系はツーステップバスと基本的に同一であり、先代のキュービック時代と大きな変化は無い。エンジンを最後部に縦置きし、その前部にトランスミッションデファレンシャルギアが位置する構造は、従来からのリアエンジンバスと共通であり、すべてのバスで共通部品を多用するので、コスト面でも有利である。エンジンは直列6気筒インタークーラーターボ付きエンジンで、260psの標準出力仕様。京都市バスは勾配路線が殆ど無いので、高出力仕様は必要ない。トランスミッションはアリソン製のトルコン式5速A/Tを採用している。
西工96MCは、2005年から新短期・長期排出ガス規制適合車対応となっており、ここでマイナーチェンジが行われて、灯火類や窓などの一部が改良されている。フロント部はヘッドライト下部の補助灯周りが黒く処理され、コーナリングランプが独立した。側面は従来が雨どいと窓の間が空いていなかったが、窓位置が若干下がったことで雨どいとの間が空くようになった。また中扉の戸袋窓周囲がボディ同色だったのが、黒く処理されるようになり、前部の窓と一体化した感じとなる。ただしそれでも純正エルガと比べると、黒く処理された部分は少ない。全体的なイメージとして、マイナーチェンジ前がずんぐりとしてやや重く感じるのに対し、マイナーチェンジ後はやや軽快になった感じがする。
座席配置は2004年度導入車以降の標準レイアウトを基本的に踏襲しており、低床部は左側を優先座席のロングシートとし、右側を1人掛座席4脚としている。前2脚は固定式で、後2脚が折りたたみ式となり、車いすが1台搭載出来る。
後部の高床部は、最後部を除き左側が1人掛け、右側が2人掛けとしており、通路を広くして立席スペースを多くしてあり、一部吊皮も設置されている。烏丸営業所が構造上全長11mクラスが導入できないが、観光利用の多い循環系統や学生輸送を受け持つ以上、ツーステップバス並の収容力も求められており、これを両立させる手段としてワンステップバスを採用したのでしょう。西賀茂と横大路も11mクラスが導入出来ないが、ワンステップバスノンステップバスと違って補助金が出ないため、烏丸だけに限定しているのだろう。
内装は2005年以降標準ノンステップバスとなったので、シートモケットがブルー系、床が濃いグレー、内装パネルが淡いグレーとなり、京都市バスらしさが薄まった感がある。手すりには引き続きオレンジ色のラバーが巻かれ、見やすく且つけがをしにくくしている。車いす乗降用のスロープは、ワンステップバスなので床下に収納sており、中扉ステップ部から出し入れする。ちなみにワンステップバスのため、国土交通省の認定ステッカーはない。
2005年度導入車以降は、車内の案内表示機が大型のLCDディスプレイとなった。従来はLEDの1行表示だったので、情報量が飛躍的に増加した。また多区間系統の場合も、運賃表示をLCDで表示するので、運賃表示機を併用する必要が無くなった。
2007年度は最後の方の導入だったが、2008年度は最初の方になり、2008年12月に8台が導入され、新車導入以来運用に大きな変化は無い。2014年3月改正で方向幕がリニューアルされ、それと前後して乗客案内がレシップ製へ取り替えられており、車内案内表示機のLCDが16:9の横長タイプとなり、音声案内が肉声から合成音声となった。

スロープ板は中扉のステップ部に格納されている。