2007年度 エアロスターS M尺ノンステップ

エアロスターS (西工96MC B-I) ノンステップM尺
2007年度導入車

デンソー製クーラー搭載の1683号車

サーモキング製クーラー搭載の1703号車

 主要諸元 
型式:PDG-AA273MAN
車体架装:西日本車体工業
車種名:エアロスターS 西工96MC B-I
種類:前中扉部分ノンステップ
全長:10990mm
全幅:2490mm
全高:2985mm
エンジン型式:MD92TJ型
            (インタークーラー付)
シリンダー配列:直列6気筒
動弁機構:SOHC 4バルブ
ボア×ストローク125mm×125mm
総排気量:9203cc
圧縮比:
最高出力:220kW(300ps)/2200rpm
最大トルク:1324N・m(135kg・m)/1400rpm
搭載方法:縦置き直立
変速機:トルクコンバータ式5速AT
            (ZF製ECOMATボタン式セレクタ)
乗車定員:74名(デンソー製クーラー)
               75名(サーモキング製クーラー)
備考:国土交通省認定標準仕様ノンステップバス
         平成17年新長期排出ガス規制適合車
         アイドリングスタート&ストップ
         給油口/燃料タンク左側

 車両リスト 

 2007年12月登録 

 2008年1月登録 

※(デ)はデンソー製クーラー搭載
※(サ)はサーモキング製クーラー搭載

 解 説 
京都市バスの2007年度導入車は、廃車代替のため数がかなり多くなった。京都市交通局は完全入札制のため、一番数の多い大型ノンステップバス三菱ふそうが落札している。内訳は11m車が57台と10.5m車が15台の合計72台。ちなみにワンステップバスCNGバスはいすゞが、小型車は日野がそれぞれ落札している。
三菱自動車工業は2000年に発覚した「三菱リコール隠し」で販売が低迷しており、提携先のダイムラー・クライスラー(当時)にも見限られてしまい、提携の目的だったトラック・バス部門を三菱ふそうトラック・バスとして2003年独立させた。三菱グループ所有の株を残すことで三菱グループからは離脱していないが、ダイムラーの所有分が過半数を超えており、実質的にこちらの子会社となっている。
前述のリコール隠し問題発覚で、年々厳しくなる排気ガス規制への対策に手が回っておらず、日産ディーゼル工業(現:UDトラックス)と提携して尿素SCRシステムの技術供給を受けることとなった。この提携によりバス部門においては相互に商品をOEM供給することとなった。これは両社共に排気ガス規制対策によるコストアップを、ラインナップ削減でコストダウンで相殺する目的があった。路線用ノンステップバスは、2007年5月より日産ディーゼルからスペースランナーRAがOEM供給され、エアロスターSとして販売されることになった。これにより三菱ふそうオリジナルのノンステップバスは一旦ラインナップから姿を消す。またワンステップバスと自家用ツーステップバスは、三菱ふそうエアロスター日産ディーゼル・スペースランナーAとしてOEM供給された。京都市交通局が2007年度に導入したエアロスターSは、2008年度導入の日産ディーゼル・スペースランナーRMと全く同一であり、ステアリングホイール中央のメーカーエンブレムくらいしか区別するポイントがない。
エアロスターSのベースとなったスペースランナーRAは、2005年6月に発売開始された大型路線バスで初めて新長期規制(平成17年排出ガス規制)に適合したモデル。国土交通省認定ノンステップバスとなるため、フルフラットノンステップでは無くなり、ワンステップベースの部分ノンステップバスとなる。それに伴いエンジン搭載方法は「縦置き横倒し」から「縦置き直立」の標準的なものとなった。エンジンは、UA272(富士重工製)に搭載されていたMD92TAをベースに、尿素SCR触媒と超高圧燃料噴射(コモンレール)、酸化触媒を組み合わせた「FLENDS」と呼ばれる排出ガス浄化システムを搭載したMD92TJ型(300ps)1種類に整理されている。このシステムは給油1~2回ごとにAdblue(アドブルー)と呼ばれる尿素水溶液を補給する必要がある。トランスミッションは5速MTとATが選べるが、ATは今回から同じくZF車製ながらOD付き5速となった。5速MTは平成27年度重量車燃費基準達成車なので274系だが、5速AT等は達成していないので273系となっている。
車体は西工96MCのマイナーチェンジ後で、前年度導入のいすゞ+西工&日野+西工と違いは少ない。非公式側(右側)側面の窓レイアウトが変わり、運転席直後に細長い固定窓が設けられた。これは最前部の引き違い窓が、運転席と客室の仕切りよりも前にあると、乗客が開けにくくなるため、位置を後ろにずらす目的があるようだ。
テールランプ類は、スペースランナーRAとなった際に平成18年灯火器類保安基準に適合するため、JP/RM360と同じ縦並び(日産シビリアンと同じ)にしていたが、2008年1月頃からはゴールドキング製の汎用ランプとなり、京都市バスが導入したのもこのタイプ。
車内レイアウトは基本的に前年度導入のいすゞ+西工&日野+西工と基本的に同じで、低床部はタイヤハウス上に各1名ずつ、公式側(左側)に横向き4人掛け優先席、非公式側(右側)に1人掛け前向き折りたたみ座席が4脚で、車いすは2台搭載可能。中扉より後部は床が2段高く、2人用座席が左右4脚ずつの合計8脚(16名)で、最後部が5人掛けであり、座席定員は前年度車と同じく31名。しかし最後部のデッドスペースはいすゞ+西工&日野+西工よりも若干多く、そのためか高床部の座席間隔が若干狭く、さらに低床部も僅かに狭い。定員がやや少ないのはそのためだろう。
屋根上搭載のクーラーはデンソー製とサーモキング製の2種類があり、デンソー製の方が前後長が長く、前部のルーバーが広い。サーモキング製の方が前後長が短く、前部のルーバーが狭い。PDG-AA273MAN(11m車)では梅津営業所(直営・京阪バス委託)と錦林出張所(直営)に新製配置された車両がデンソー製で、九条営業所(直営・京阪バス委託)と洛西営業所(阪急バス委託・近鉄バス委託)に新製配置された車両がサーモキング製となっている。
京都市バスダイヤ改正は、ここ最近は毎年3月に行われており、1月末~2月初めごろから新車が導入されているが、2007年度は地下鉄東西線太秦天神川駅延伸開業が当初の2008年3月から1月に繰り上がった関係で、市バスのダイヤ改正も2008年1月に行われることになった。そのため新車導入も前倒しされ、11m車は2007年12月より運行を開始している。
このグループは転属しても同一営業所内(直営⇔委託)がほとんどで、他の営業所に転属したのはごく一部に留まっている。
以前はラッピング広告車が非常に少なかったのだが、2015年9月より金氏高麗人参のラッピング広告車が増えた。

上はデンソー製クーラーの1683号車、下はサーモキング製クーラーの1703号車。前後の長さがかなり異なる。

イメージ 1
運転席後部の逆T字窓を縮小し、細長い固定窓を配している。これは上方の窓を乗客が開閉しやすくするためのようだ。