2007年度 エアロスターS K尺ノンステップ

エアロスターS (西工96MC B-I) ノンステップK尺
2007年度導入車

デンソー製クーラー搭載の1768号車

サーモキング製クーラー搭載の1771号車

 主要諸元 
型式:PDG-AA273KAN
車体製造:西日本車体工業
車種名:エアロスターS 西工96MC B-I
車体:前中扉部分ノンステップ
全長:10490mm
全幅:2490mm
全高:2985mm
エンジン型式:MD92TJ型
            (インタークーラー付)
シリンダー配列:直列6気筒
動弁機構:SOHC 4バルブ
ボア×ストローク125mm×125mm
総排気量:9203cc
圧縮比:
最高出力:220kW(300ps)/2200rpm
最大トルク:1324N・m(135kg・m)/1400rpm
搭載方法:縦置き直立
変速機:トルクコンバータ式5速AT
            (ZF製ECOMAT)
乗車定員:73名(デンソー製クーラー)
               74名(サーモキング製クーラー)
備考:国土交通省認定標準仕様ノンステップバス
         平成17年新長期排出ガス規制適合車
         アイドリングスタート&ストップ
         給油口/燃料タンク左側

 車両リスト 

 2008年1月登録 

 2008年2月登録 

(デ)はデンソー製クーラー搭載
※(サ)はサーモキング製クーラー搭載

 解 説 
京都市バスの2007年度導入車は、廃車代替のため数がかなり多くなった。京都市交通局は完全入札制のため、一番数の多い大型ノンステップバス三菱ふそうが落札している。内訳は11m車が57台と10.5m車が15台の合計72台。ちなみにワンステップバスCNGバスはいすゞが、小型車は日野がそれぞれ落札している。
2000年に発覚した「三菱リコール隠し」で販売が低迷し、トラック・バス部門はダイムラー資本の三菱ふそうトラック・バスとして2003年に三菱自動車工業より独立した。前述のリコール隠し問題で、年々厳しくなる排気ガス規制対策に手が回らず、日産ディーゼル工業(現:UDトラックス)から尿素SCRシステムの技術供給を受けることとなった。バス部門においては相互にOEM供給することとなり、ノンステップバスは2007年5月より日産ディーゼルからスペースランナーRAがOEM供給され、エアロスター-Sとして販売されることになった。またワンステップバスと自家用ツーステップバスは、三菱ふそうエアロスター日産ディーゼル・スペースランナーAとしてOEM供給されていた。2007年度導入のエアロスター-Sは、翌年度導入のスペースランナーRMと全く同一であり、ステアリングホイール中央のメーカーエンブレムくらいしか区別するポイントがない。
エアロスター-SのベースとなったスペースランナーRAは、2005年6月に大型路線バスで初めて新長期規制(平成17年排出ガス規制)に適合したモデルが発売開始され、ADG-RA273A系となった。国土交通省認定の問題もあり、フルフラットノンステップは無くなってワンステップベースの部分ノンステップバスとなり、エンジン搭載方法は「縦置き横倒し」から「縦置き直立」の標準的なものとなった。エンジンは、UA272(富士重工製)に搭載されていたMD92TAをベースに、尿素SCR触媒と超高圧燃料噴射(コモンレール)、酸化触媒を組み合わせた「FLENDS」と呼ばれる排出ガス浄化システムを搭載したMD92TJ型(300ps)1種類に整理されている。このシステムは給油1~2回ごとにAdblue(アドブルー)と呼ばれる尿素水溶液を補給する必要がある。トランスミッションは5速MTとATが選べるが、ATは今回から同じくZF車製ながらOD付き5速となった。
車体は西工96MCのマイナーチェンジ後で、前年度導入のいすゞ+西工&日野+西工と違いは少ない。非公式側(右側)側面の窓レイアウトが変わり、運転席直後に細長い固定窓が設けられた。これは最前部の引き違い窓が、運転席と客室の仕切りよりも前にあると、乗客が開けにくくなるため、位置を後ろにずらす目的があるようだ。
テールランプ類は、スペースランナーRAとなった際に平成18年灯火器類保安基準に適合するため、JP/RM360と同じ縦並び(日産シビリアンと同じ)にしていたが、2008年1月頃からはゴールドキング製の汎用ランプとなり、京都市バスが導入したのもこのタイプ。
車内レイアウトは基本的に前年度導入のいすゞ+西工&日野+西工と基本的に同じで、低床部はタイヤハウス上に各1名ずつ、公式側(左側)に横向き3人掛け優先席、非公式側(右側)に1人掛け前向き折りたたみ座席が4脚で、車いすは2台搭載可能。中扉より後部は床が2段高く、2人用座席が左右4脚ずつの合計8脚(16名)で、最後部が5人掛けであり、座席定員は前年度車と同じく30名。しかし最後部のデッドスペースはいすゞ+西工&日野+西工よりも若干多く、そのためか高床部の座席間隔が若干狭く、さらに低床部も僅かに狭い。定員がやや少ないのはそのためだろう。
屋根上搭載のクーラーはデンソー製とサーモキング製の2種類があり、デンソー製の方が前後長が長く、前部のルーバーが広い。サーモキング製の方が前後長が短く、前部のルーバーが狭い。PDG-AA273KAN(10.5m車)では西賀茂営業所(直営・京都バス委託)に新製配置された車両がデンソー製で、横大路営業所(阪急バス委託)に新製配置された車両がサーモキング製となっている。
京都市バスダイヤ改正は、ここ最近は毎年3月に行われており、その少し前から新車が導入されているが、2007年度は地下鉄東西線太秦天神川駅延伸開業が当初の2008年3月から1月に繰り上がった関係で、市バスのダイヤ改正も2008年1月に行われることになった。そのため新車導入も前倒しされ、11m車は2007年12月より運行を開始している。10.5m車はやや遅くなり、2008年1~2月に導入されている。
2014年3月改正で8号系統が横大路阪急から梅津JRに移管されたが、それに合わせて1778・1779号車が転属している。これは高雄での折り返しの関係で11m車が使えないためだろう。しかし8号系統は通常は中型車で運用されるため、他の系統で運用されることの方が多かったりする。
1778・1779号車は2016年3月に横大路阪急に転属しており、これによりこのグループは西賀茂直営と横大路阪急の2箇所のみの配置となった。