日野ブルーリボンHIMR 1991年度導入車
日野ブルーリボンHIMR
1991年度導入車
主要諸元
解 説
京都市バス初の低公害車として1991年に導入された。HIMR(Hybrid Inverter-controlled Motor & Retarder System = ハイエムアール)は、日野自動車が路線バス用に開発したディーゼルエンジンと電気モーターによるパラレル方式のハイブリッドシステム。まだ開発途上のシステムなので、試作車を6つの事業者でモニター車として運行していた。そのため改造扱いとされ、型式に「改」の文字が入る。
HIMRのシステム図(ウィキペディアより)
上図のように、動力系の基本的な構造は変わらず、エンジンと変速機の間に薄型のモーター兼発電機が組み込まれている。そして床下にはバッテリーバッテリーを25個搭載する。バッテリーは直流で、モーター兼発電機は交流なので、間にはそれを制御するインバーターもある。
そもそもガソリンエンジンやディーゼルエンジンは一定回転で使用する場合は効率が良いが、発進時や加速時等の負荷がかかる使用は苦手で、効率も悪く排気ガスの有害廃棄物も多くなる。しかしモーターは起動時から最大トルクを発揮出来るので、発進時や加速時にはモーターがエンジンをアシストすることで負荷を減らし、燃費の向上と排気ガス中の窒素酸化物と黒煙を減少させることができる。また減速時のエネルギーは、回生ブレーキとして発電機が電力としてバッテリーに蓄えることで、熱として放出されるエネルギーを回収できる。こうしてエンジンとモーターの「いいとこどり」と言えるシステムがパラレル方式のハイブリッドシステムとなる。
しかし構造や制御プログラムが複雑になることや、モーター兼発電機はエンジンと変速機の間に設置するが、大型のものだとバスの構造そのものを大幅に変更することになるので、出来るだけ薄い方が好ましい。開発当初は電機メーカーに薄型のモーターを依頼したところ、「そんなものは不可能」と断られ、仕方なく自社開発したという逸話もある。試作車なのでエンジンは通常のブルーリボンと同じく、直列6気筒9880ccのM10U型を搭載していた。これはハイブリッドシステムが故障しても、従来通りの動力性能を確保出来るための保険だったのだろう。厳密には同一エンジンではハイブリッドのメリットは薄い。