日野ブルーリボンHIMR 1991年度導入車

 日野ブルーリボンHIMR 
 1991年度導入車 

 主要諸元 
メーカー:日野自動車
型式:U-HU2MLAA改
車体製造:日野車体工業
全長:10280mm
全幅:2490mm
エンジン:M10U直列6気筒 9880cc
最高出力:173kW(235ps)/2500rpm
最大トルク:716N・m(73kg・m)/1500rpm
変速機:ロッド式5速M/T
   ディーゼル電気ハイブリッドバス試作モニター車

 解 説 
京都市バス初の低公害車として1991年に導入された。HIMR(Hybrid Inverter-controlled Motor & Retarder System = ハイエムアール)は、日野自動車が路線バス用に開発したディーゼルエンジンと電気モーターによるパラレル方式のハイブリッドシステム。まだ開発途上のシステムなので、試作車を6つの事業者でモニター車として運行していた。そのため改造扱いとされ、型式に「改」の文字が入る。
イメージ 1
HIMRのシステム図(ウィキペディアより)

上図のように、動力系の基本的な構造は変わらず、エンジンと変速機の間に薄型のモーター兼発電機が組み込まれている。そして床下にはバッテリーバッテリーを25個搭載する。バッテリーは直流で、モーター兼発電機は交流なので、間にはそれを制御するインバーターもある。
そもそもガソリンエンジンディーゼルエンジンは一定回転で使用する場合は効率が良いが、発進時や加速時等の負荷がかかる使用は苦手で、効率も悪く排気ガスの有害廃棄物も多くなる。しかしモーターは起動時から最大トルクを発揮出来るので、発進時や加速時にはモーターがエンジンをアシストすることで負荷を減らし、燃費の向上と排気ガス中の窒素酸化物と黒煙を減少させることができる。また減速時のエネルギーは、回生ブレーキとして発電機が電力としてバッテリーに蓄えることで、熱として放出されるエネルギーを回収できる。こうしてエンジンとモーターの「いいとこどり」と言えるシステムがパラレル方式のハイブリッドシステムとなる。
しかし構造や制御プログラムが複雑になることや、モーター兼発電機はエンジンと変速機の間に設置するが、大型のものだとバスの構造そのものを大幅に変更することになるので、出来るだけ薄い方が好ましい。開発当初は電機メーカーに薄型のモーターを依頼したところ、「そんなものは不可能」と断られ、仕方なく自社開発したという逸話もある。試作車なのでエンジンは通常のブルーリボンと同じく、直列6気筒9880ccのM10U型を搭載していた。これはハイブリッドシステムが故障しても、従来通りの動力性能を確保出来るための保険だったのだろう。厳密には同一エンジンではハイブリッドのメリットは薄い。
側面には広告看板が無く、低公害車を示す♥マークと、HIMR ディーゼル電気ハイブリッドバスの文字が入る。また後部にも♥マークが入る。また床下にバッテリーを搭載している関係で、ルーバーの位置や形状が通常のディーゼル車とは異なっている。1991年度導入車で後半の導入ながら、内装は前半導入車と同じく座席モケットがグリーンで床がピンクなのは、実際の製造からナンバー取得までタイムラグがあったのかもしれない。

 U-HU2MLAA改
 日野車体工業 ブルーリボンHU
 ディーゼル電気ハイブリッドHIMR
 ロッド式5速M/T
 座席グリーン ピンク

 ※ピンク数字の号車はリンク先に記事がある。
 ※黒数字の号車は記事が無い。