日野+東京特殊車体 1991年度導入車
ファンタスティックバス
1991年度導入車
解 説
1991年度登場のレトロ調チンチンバスは、日野自動車の特装車用センターアンダフロアエンジンのシャーシに、東京特殊車体のレトロ調車体を架装したもの。車体デザインは、1989年に東京特殊車体が最初に手掛けた東海自動車「リンガーベル」をベースに、路線バス用として前後扉に改め、デザインもN電をイメージしたものに手直ししている。センターアンダーフロアエンジンは、バスのエンジン搭載方式としては古く、その後リアエンジン方式が主流になってきたことで、1975年でこの方式のバスは生産終了している。しかし馬匹輸送車では車体後部には馬が乗り降りするためのゲートを取り付けるため、リアエンジンでは都合が悪いなど、特殊用途車のベースとして細々と生産が続けられており、このシャーシが利用された。オーダーメイドのため車両価格は当時の一般車の3倍といわれており、まさにバブル景気ならではといったところでしょうか。当初は別建ての高額運賃も検討されたと言われています。エンジンに当時のブルーリボンの高出力版であるK13U型を搭載していたのは、重量が嵩んだ分の性能を補うためでしょう。
車内は木製品がふんだんに使われており、座席も木製に緑のモケットを貼ったもの。両側共2人掛けだったので通路が狭く、乗客の流動性は良くなかったようです。後部にはネクタイピンやハンカチの自動販売機が設置されていましたが、末期には稼働していませんでした。
通常の路線バス車両より全長が長く、さらにオーバーハングも長くなっており、前部のピラーが太いことや、重量もそれなりにある等、運転手にとっては運転しやすい車両とは言えなかったようです。
1991年末に5529号車が登場し、1992年1月には5541・5543号車が登場しています。車体塗装は3台全て異なり、昔の京都市電をイメージした塗装になっています。新製時はすべて五条営業所に配置され、急行100号系統専用車として運用されてきました。2003年1月の五条営業所廃止後は梅津営業所に転属した。
老朽化に伴い2006年3月に3台すべて廃車されました。2006年3月31日の特別運転には5543号車が用いられ、この1台のみ洛西営業所にて静態保存されています。時折イベントで公開されていますが、ナンバーは無いので自走は出来ません。