2015年度 エアロスター K尺ノンステップ

エアロスター ノンステップK尺
2015年度導入車


 主要諸元 
型式:QKG-MP38FK
車種名:エアロスター(2代目)
種類:前中扉部分ノンステップ
全長:10705mm
全幅:2490mm
全高:3070mm
エンジン型式:6M60(T2)型
            (インタークーラー付)
シリンダー配列:直列6気筒
動弁機構:SOHC 4バルブ
ボア×ストローク118mm×115mm
総排気量:7545cc
圧縮比:16.0
最高出力:199kW(270ps)/2500rpm
最大トルク:785N・m(80kg・m)/1100~2400rpm
変速機:トルクコンバータ式6速AT
            (アリソン製ボタン式セレクタ)
搭載方法:縦置き直立
乗車定員:74名
備考:国土交通省認定標準仕様ノンステップバス
         後部座席配置ラッシュ型
         平成21年新長期排出ガス規制適合車
         平成27年重量車燃費基準+5%達成車
         ABS装備
         給油口/燃料タンク左前輪タイヤハウス後部

 車両リスト 

 2016年3月登録 

 解 説 
2015年度は久しぶりに三菱ふそう車が導入された。2007年度以来なので8年ぶりということになる。しかしこれは日産ディーゼル(現:UDトラックス)からのOEM供給車だったので、三菱ふそう純正ならば2006年度のCNG車以来9年ぶりとなる。ディーゼル車の純正車体なら、1996年度の最初期ノンステップ以来となるので、何と19年ぶりということになる。
現行エアロスターは、トラック・バス部門が三菱自動車から独立する前の1996年にフルモデルチェンジされ、そこから度々マイナーチェンジが行われている。現行車種は2014年6月に発表・発売された。
フルモデルチェンジ当初は、ツーステップ・ワンステップとノンステップでは、車体も駆動系レイアウトも大きく異なっていた。車体はノンステップのみかなり低く、駆動系レイアウトは後部扉を成立させる事を考慮して、エンジン・変速機は縦置きながら、右側(非公式側)へオフセット搭載されていた。もっとも、前後扉のノンステップバスは、サンプルカーとして1台のみが製造されたにすぎず、ごく一部で3扉が採用されたものの、大半の事業者が前中扉を採用していた。
他のバス製造主要三社は、エンジンを横置き搭載し、オフセットされたデファレンシャルと変速機をドライブシャフトで結んでいた。これによりフルフラットを成立させていたが、横置き搭載だと外国産の部品を使わなくてはならず、三菱自動車のプライドがそれを許さなかったのかもしれない。ただし駆動系が出っ張るため、フルフラットには出来ず、段差が発生していた。また後部のデッドスペースが結構あり、縦置きのメリットはあまり生かされてなかったように思う。
ところが2000年代に入り、2回もリコール隠し問題があり、その対応が優先となったため、年々厳しくなるディーゼルエンジン車の排気ガス対策が後手後手となっており、背に腹は代えられず、日産ディーゼルと技術提携することとなった。当時日産ディーゼルは、尿素SCRシステムと超高圧燃料噴射システムを用いたFLENDSシステムを実用化しており、今後の事を考えるとこれしか選択肢は無かったようだ。
この提携では、排気ガス規制強化による開発費コスト増大に対応するため、両社の商品ラインナップを削減して相互補完することとなった。ディーゼルエンジン車のノンステップバスは、日産ディーゼル・スペースランナーRAを三菱ふそうエアロスターSとして販売することとなり、2007年9月9月発売のPKG-MP系からは、オリジナルのエアロスターは、エコハイブリッドを除き、いったんワンステップと自家用のツーステップのみとなり、これが日産ディーゼルでスペースランナーAとして販売された。ただし日産ディーゼル側ではラインナップの廃止は行われず、オリジナルのスペースランナーRAにもワンステップとツーステップがラインナップされており、重複して販売されていた。また日産ディーゼルとの提携により、エンジンや排気ガス浄化システムは日産ディーゼルから供給されたものとなる。
しかし従来からの三菱ふそうユーザーからは、従来のエアロスターと共通の車種を要望されたことや、日産ディーゼル西日本車体工業だけでは、スペースランナーRAに加えエアロスターSの分も上乗せされて多くなった注文をさばききれず、結果として納車遅滞が発生していたため、結局2009年4月からは、オリジナルのエアロスターにもノンステップバスがラインナップされるようになった。ただし一部の事業者には2月から先行で納車されていた。
当時既にノンステップバスの生産を取りやめていたことや、国土交通省の認定標準仕様ノンステップバスが、前半分だけの部分ノンステップバスとなっていたこと、エンジンが日産ディーゼル製で、通常の中央搭載用であるため、オフセット搭載するには補器類のレイアウトを変更しなくてはならず、ワンステップバスをベースに、前半部分だけ床を低くした構造となった。このため中扉より後方の高床部分と低床部分との間には3段の段差がある。また扉は以前の背の低いノンステップバスから流用しており、ワンステップバスと同程度の車高のため、扉上部の外板部分がかなり広い。前半部分だけ低くなった床に合わせ、窓もそれに合わせて下部に拡大されており、公式側は中扉を境に前半と後半で窓の高さが異なっている。あくまでもワンステップバスの改造扱いなので、型式も末に「改」が付いている。
2010年5月からは平成21年排出ガス規制(ポスト新長期規制)及び重量車燃費基準に適合しLKG-MP系となる。平成17年排出ガス規制(新長期規制)基準値に対して、窒素酸化物(NOx) の65%低減、粒子状物質(PM)の63%低減を達成した。
エンジンは三菱ふそう製に戻り、中型車のエアロミディで使われていた6M60型7545cc(VGターボ付)に、再生制御式DPF尿素SCRシステムを組み合わせたBlueTecテクノロジーを採用した。一時的に自社製エンジンでなくなったのは、開発が間に合わなかったからだろう。
この代からは、アリソン社製6速ATとABS、パワータードブレーキ(圧縮解放ブレーキ)が標準となり、5速MTが廃止された。またノンステップバスが正式にラインナップされ、MP35ワンステップバスの改造扱いではなくなり、MP37ノンステップの型式が復活している。ただし車体や構造は改造扱いと変化は無く、ワンステップ並みの高さであることには変わりない。本型式もUDトラックスにスペースランナーAとして供給されていたが、両社のバス事業統合が白紙に戻ったことから2011年4月初旬に終了した。
2012年4月からは、QKG(QDG)-MP35(37)系となる。平成21年排出ガス規制(ポスト新長期規制)に適合しており、さらに重量車燃費基準適合車となっている。LKG-車に対して窒素酸化物(NOx)の10%低減と粒子状物質(PM)の30%低減を達成した。ただし自家用ツーステップの一部は燃費基準未達成のため、型式がQDGとなっている。また2012年7月に施行される安全規制に対応し、乗員の安全性を向上している。エンジンや排気ガス処理システム、変速機等には変更は無い。
2014年6月にはフロントマスクに大幅なマイナーチェンジが施さた。ヘッドライトは規格型の角型4灯式から、オリジナル形状のディスチャージヘッドライトとなった。また国土交通省標準仕様ノンステップバスの内容が変更されることに対応した。中扉のスロープは板から反転式となり、優先座席は横向きロングシートから、1人掛けの前向きシートとなった。これを実現するためノンステップバスのみホイールベースと全長が延長されており、K尺でHBが195mm全長が455mm、M尺でHB250mm全長530mmそれぞれワンステップバスより長い。これに伴いノンステップバスは型式がMP38系となったが、ワンステップバスはMP35系で変更が無い。
京都市バスでは2015年度新車として、大半はいすゞエルガのN尺を導入したが、烏丸営業所だけは設備の関係上エルガでは都合が悪かったようで、エアロスターの導入となった。2016年3月改正で修学院岩倉地区が均一区間化されることから、多区間車の必要数が減るため、すべて単区間車となった。