2008年度 スペースランナーRA M尺ノンステップ

西工96MC B-I スペースランナーRA
ノンステップM尺
2008年度導入車

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デンソー製クーラー搭載の1999号車

イメージ 2
サーモキング製クーラー搭載の2027号車

 主要諸元 
型式:PDG-RA273MAN
車体架装:西日本車体工業
車種名:スペースランナーRA 西工96MC B-I
車体:前中部分ノンステップ
全長:10990mm
全幅:2490mm
全高:3030mm(デ) 2990mm(サ)
エンジン型式:MD92TJ型 水冷4サイクル
シリンダー配列:直列6気筒
動弁機構:SOHC 4バルブ
ボア×ストローク125mm×125mm
総排気量:9203cc
圧縮比:
最高出力:220kW(300ps)/2200rpm
最大トルク:1324N・m(135kg・m)/1400rpm
搭載方法:縦置き直立
変速機:トルクコンバータ式5速AT
            (ZF製ECOMATボタン式セレクタ)
乗車定員:74名(デ) 75名(サ)
クーラー:デンソー、サーモキング
行先表示機:幕式
備考:国土交通省認定標準仕様ノンステップバス
         アイドリングスタート&ストップ
         平成17年新長期排出ガス規制適合車
         給油口左側
         燃料タンク左側

※(デ)はデンソー製クーラー、(サ)はサーモキング製クーラー

 車両リスト 

 2008年12月登録 

 2009年1月登録 

※(デ)はデンソー製クーラー、(サ)はサーモキング製クーラー

 解 説 
京都市バスの2008年度導入車は、日産ディーゼル工業が大型ノンステップバスを落札した。内訳は11m車が35台、10.5m車が27台の合計62台。ちなみに他にはワンステップバスいすゞが8台、CNGバスをいすゞが3台、定期観光用を日野が1台となる。
日産ディーゼル三菱ふそうトラック・バスは、当時業務提携しており、バス事業においては相互にOEM供給して、自社の生産ラインナップを一部削減していた。
これは三菱自動車工業リコール隠し問題発覚で販売が低迷しており、独立後の三菱ふそうトラック・バスとしても年々厳しくなる排気ガス規制への対策が追い付いていなかったこともあるだろう。このため日産ディーゼル工業(現:UDトラックス)と提携して尿素SCRシステムの技術供給を受けることとなったもの。どちらも親会社が外資系なので、この辺はドライに割り切っていたのではないだろうか。
これにより2007年5月より日産ディーゼルからスペースランナーRAがOEM供給され、エアロスターSとして販売されることになった。これにより三菱ふそうオリジナルのノンステップバスは一旦ラインナップから姿を消す。またワンステップバスと自家用ツーステップバスは、三菱ふそうエアロスター日産ディーゼル・スペースランナーAとしてOEM供給された。京都市交通局が2007年度導入のエアロスターSは、2008年度導入の日産ディーゼル・スペースランナーRMのOEMなので、相違点は非常に少なく、ステアリングホイール中央のメーカーエンブレムや、後部の乗降中表示の周りの色、前部の外気取り入れ用小型扉の有無くらいしか区別するポイントがない。
スペースランナーRAは、2005年6月に発売開始された大型路線バスで初めて新長期規制(平成17年排出ガス規制)に適合したモデル。国土交通省認定のノンステップバスとなったため、フルフラットノンステップでは無くなり、ワンステップベースの前中部分ノンステップバスとなる。それに伴いエンジン搭載方法は「縦置き横倒し」から「縦置き直立」の標準的なものとなった。エンジンは、UA272(富士重工製)に搭載されていたMD92TAをベースに、尿素SCR触媒と超高圧燃料噴射(コモンレール)、酸化触媒を組み合わせたFLENDSと呼ばれる排出ガス浄化システムを搭載したMD92TJ型(300ps)1種類に整理されている。このシステムは給油1~2回ごとにAdblue(アドブルー)と呼ばれる尿素水溶液を補給する必要がある。トランスミッションは5速MTとATが選べるが、ATは今回から同じくZF車製ながらOD付き5速となった。5速MTは平成27年度重量車燃費基準達成車なので274系だが、5速AT等は達成していないので273系となっている。
車体は西工96MCのマイナーチェンジ後で、2005・2006年度導入のいすゞ+西工&日野+西工と違いは少ない。非公式側(右側)側面の窓レイアウトが変わり、運転席直後に細長い固定窓が設けられた。これは最前部の引き違い窓が、運転席と客室の仕切りよりも前にあると、乗客が開けにくくなるため、位置を後ろにずらす目的があるようだ。
テールランプ類は、スペースランナーRAとなった際に平成18年灯火器類保安基準に適合するため、JP/RM360と同じ縦並び(日産シビリアンと同じ)にしていたが、2008年1月頃からはゴールドキング製の汎用ランプとなり、京都市バスが導入したのもこのタイプ。
車内レイアウトは基本的に2005・2006年度導入のいすゞ+西工&日野+西工と基本的に同じで、低床部はタイヤハウス上に各1名ずつ、公式側(左側)に横向き4人掛け優先席、非公式側(右側)に1人掛け前向き折りたたみ座席が4脚で、車いすは2台搭載可能。中扉より後部は床が2段高く、2人用座席が左右4脚ずつの合計8脚(16名)で、最後部が5人掛けであり、座席定員は前年度車と同じく31名。しかし最後部のデッドスペースはいすゞ+西工&日野+西工よりも若干多く、そのためか高床部の座席間隔が若干狭く、さらに低床部も僅かに狭い。定員がやや少ないのはそのためだろう。
屋根上搭載のクーラーはデンソー製とサーモキング製の2種類があり、デンソー製の方が前後長が長く、前部のルーバーが広い。サーモキング製の方が前後長が短く、前部のルーバーが狭い。PDG-RA273MAN(11m車)では梅津営業所(直営・京阪バス委託)と錦林出張所(直営)及び九条営業所(直営)に新製配置された車両がデンソー製で、九条営業所(京阪バス委託)と洛西営業所(阪急バス委託・近鉄バス委託)に新製配置された車両がサーモキング製となっている。10.5m車も含めて原則は直営がデンソー製、民間委託がサーモキング製としたようだが、2003号車のみデンソー製ながら京阪バス委託へ配置されている。
京都市バスダイヤ改正は、ここ最近は毎年3月に行われており、通常は1月末~2月初めごろから新車が導入されている。しかし2008年度は2007年度のようにダイヤ改正が前倒しになる等の事情が無かったのに、2008年11月にますワンステップバスが導入され、12月から2009年2月にかけてノンステップバスが導入されていた。これは西日本車体工業の生産キャパシティに余裕がなく、年度末に集中してしまうと受注がこなせなかったためではないだろうかと推測される。
このグループは転属しても同一営業所内(直営⇔委託)がほとんどで、他の営業所に転属したのはごく一部に留まっている。
以前はラッピング広告車が無かったのが、2015年1月以降ラッピング広告車となった車両も出てきている。