1996年度 エアロスター M尺ノンステップ

エアロスター ノンステップM尺
1996年度導入車


 主要諸元 
型式:KC-MP747M
車体製造:三菱自動車バス製造(MBM)
車種名:エアロスター(2代目)
車体:前中扉フルフラットノンステップバス
全長:10955mm
全幅:2490mm
全高:2905mm
エンジン型式:6D24型
過給機:ノンターボ(NA)
シリンダー配列:直列6気筒
動弁機構:OHV 2バルブ
ボア×ストローク130mm×150mm
総排気量:11945cc
圧縮比:19.5
最高出力:176kW(240PS)/2200rpm
最大トルク:833N・m(85kg・m)/1400rpm
搭載方法:縦置き直立(右側オフセット)
変速機:フィンガーコントロール式5速MT
            (FCT)
備考:平成6年排気ガス規制適合車
         アイドリングスタート&ストップ
         大型ノンステップバス
         中扉グライドスライドドア

 車両リスト 

 1997年3月登録 

 解 説 
1996年度より数年間は、京都市バスの新車導入数が少なかった。これは1997年に地下鉄東西線開業と、烏丸線国際会館延伸を控えており、これにより山科・醍醐地区の京阪バスへの移管と、岩倉地区の一部京都バス移管がある。そのため車両に余剰が出てくることが確実なので、導入台数を絞ったのだろう。
本年度導入車両は、4メーカーすべてでアイドリングストップ&スタートシステムを装備しており、これ以降CNG車を除き標準装備となった。
三菱エアロスターは1996年9月にモデルチェンジし、2代目となった。当初は区別するためにニューエアロスターと称していたが、経過とともにニューは付かなくなる。当初はツーステップバスワンステップバスだけのラインナップだったが、少し遅れて1997年には国産初の本格的なノンステップバスがラインナップに追加され、京都市バスで導入されたのが6419・6420号車の2台です。当時は「ノーステップバス」と呼ばれていた。
構造としては、エアロスターをベースに駆動系レイアウトは縦置のまま変えず、エンジンとデフごと右側(非公式側)へオフセットさせることで、後部まで低床エリアを確保している。車内のレイアウトは、低床部が両側ともロングシートとなり、高床部は通路に低い段差があり、後輪上の座席は後ろ向きとなっている。後ろ向き座席はブルーリボンでも採用されていたが、乗客からはあまり好まれないためか、その後姿を消した。エンジンを横置きとすると特殊な輸入部品が必要となり、コストが大幅に上昇することから、三菱自動車ではエンジンを初めとする駆動系を右側にオフセット搭載することで、デファレンシャルを中央からずらし、中央部通路を下げている。特殊な部品は必要ないものの、完全なフルフラットには出来ず段差がある。それでもこの方式にこだわったのは、前後扉か3扉を成立させることで、販路の拡大を狙ったのだろう。地方に多い後払い方式は、前中扉では客の流れが悪くなるので、前後扉の需要があると見ていたのではないだろうか。しかし実際には前中扉が主流になり、前後扉はサンプルカーで1台製造されたのみで、3扉車が一部の事業者で採用されたに過ぎない。その後国土交通省認定の標準仕様ノンステップバスは、前中扉の部分ノンステップとなった。これにより標準仕様の認定外となるフルフラットノンステップバスは、各社共ラインナップから外れている。また三菱ふそう日産ディーゼルの提携で、三菱ふそうオリジナルのノンステップバスは一旦製造中止となり、その後再開された際には日産ディーゼルのエンジンを搭載する関係上、ワンステップバスをベースとしたので、右側オフセットの駆動系が復活することは無かった。
京都市バスの大型車はホイールベース4800mmがほぼ標準となっていたが、今回のノンステップバスが5300mmを選択したのは、おそらく定員減を嫌ったためだろう。乗降扉は前中で、どちらも左右開きのグライドスライドドアを採用した。中扉の戸袋窓を廃止して、室内空間を広くしたかったのだろうが、扉が開く際に車内に出っ張ってしまい、混雑時には乗客と干渉するという難点がある。また多区間系統での運用では整理券発券機とカードリーダーを設置する必要があるが、車内側に開くグライドスライドドアでは設置しにくい。こういった理由からか、以降採用されることはなかった。低床部の座席は着席定員の減少を嫌ったためか、左右どちらも横向きのセパレートタイプとなった。これも相対的に通路が狭くなり、ラッシュ時に使いにくい原因ともなっていた。
塗装は従来を踏襲しているが、ツーステップバスよりも全高が低くなり、側窓の位置も低く幕板の高さも低いので、バランスを考慮して濃緑の帯を細くしたのか、それともノンステップバスであることをPRするためにあえて変えたのかは不明。
当初の1997年3月には錦林営業所に配置されたが、10月改正で九条営業所に転属している。その後の転属を経て2台とも九条営業所京阪バス委託に配置されていたが、2014年度新車導入と入れ替わりに2015年3月に廃車された。

イメージ 1
6419号車の後輪タイヤハウス付近
駆動系を右寄りに配置して、デファレンシャルを中央からずらし、通路部の床高さを低くした関係で、後輪タイヤハウス部の座席高さと通路の段差が大きくなり、安全上やむを得ず後ろ向きに配置してある。駆動系が右寄りのため、床の点検口も右寄りにある。