ディーゼル電気ハイブリッド

ディーゼル電気ハイブリッド

HIMR(Hybrid Inverter-controlled Motor & Retarder System = ハイエムアール、ハイマー)は、日野自動車が路線バス用に開発したディーゼルエンジンと電気モーターによるパラレル方式のハイブリッドシステム。京都市交通局もモニター事業者の1つとして、1991年度にモニター車として5526号車を試験導入していた。その後1994年から日野自動車の正式ラインナップとなり、1995年にHIMRは平成6年排出ガス規制適合に併せ第二世代へ移行している。
HIMRのシステム図(ウィキペディアより)

上図のように、動力系の基本的な構造は変わらず、エンジンと変速機の間に薄型のモーター兼発電機が組み込まれている。そして床下にはバッテリーバッテリーを25個搭載する。バッテリーは直流で、モーター兼発電機は交流なので、間にはそれを制御するインバータがある。
そもそもガソリンエンジンディーゼルエンジンは一定回転で使用する場合は効率が良いが、発進時や加速時等の負荷がかかる使用は苦手で、効率も悪く排気ガスの有害廃棄物も多くなる。しかしモーターは起動時から最大トルクを発揮出来るので、発進時や加速時にはモーターがエンジンをアシストすることで負荷を減らし、燃費の向上と排気ガス中の窒素酸化物と黒煙を減少させることができる。また減速時のエネルギーは、回生ブレーキとして発電機が電力としてバッテリーに蓄えることで、熱として放出されるエネルギーを回収できる。こうしてエンジンとモーターの「いいとこどり」と言えるシステムがパラレル方式のハイブリッドシステムとなる。
しかし構造や制御プログラムが複雑になることや、モーター兼発電機はエンジンと変速機の間に設置するが、大型のものだとバスの構造そのものを大幅に変更することになるので、出来るだけ薄い方が好ましい。開発当初は電機メーカーに薄型のモーターを依頼したところ、「そんなものは不可能」と断られ、仕方なく自社開発したという逸話もある。
エンジンは、試作車と第一世代の量産車では、通常のブルーリボンと同じく、直列6気筒9880ccのM10U型を搭載していた。1995年にHIMRは平成6年排出ガス規制適合に併せ第二世代へ移行し、中型車レインボー用のJ08C型(240ps)にターボチャージャーを取り付けたものに変更された。そのため、エンジンは垂直シリンダー型となり、型式もKC-RU1JLCHとなっている。型式認定を受けているので、試作車と異なり「改」は付かない。
試作車5526号車と異なり、側面に広告看板が設置され、公式側(左側)は低公害車を示す♥マークだけとなる。非公式側(右側)には広告看板と♥マーク、HIMR ディーゼル電気ハイブリッドバスの文字が後寄りに入る。また後部にも♥マークが入る。床下にはバッテリーを搭載している関係で、ルーバーの位置や形状が通常のディーゼル車とは異なっている。